医用画像 × 定量解析 · IBSI準拠の学習サイト

Radiomics大全

医療画像に隠れた“数えきれない数字”を、触って・動かして・直感で理解する。

11
特徴量グループ
172
IBSI特徴量
リアルタイム計算
▶ 形状(Morphology)特徴量から始める

Radiomics(レディオミクス)とは?

CT・MRI・PET などの医療画像は、医師が“見て”診断するもの——そう思っていませんか? Radiomics は、その画像から人間の目では捉えきれない膨大な数値特徴量を自動抽出し、腫瘍の性質・治療効果・予後を定量的に読み解く新しい学問分野です。

1枚の腫瘍画像が、数百〜数千の数字に変わる。その数字が、目に見えない“がんの個性”を語り出す——それが Radiomics の世界です。

たとえば同じ大きさの腫瘍でも、内部が均一か・まだらか、輪郭が滑らかか・トゲトゲかで、悪性度や治療への反応は大きく異なります。Radiomics はこうした「テクスチャ(質感)」や「形状」を Mean・Entropy・Contrast・Sphericity といった特徴量に翻訳し、機械学習や統計モデルと組み合わせることで、非侵襲の画像バイオマーカーを生み出します。

本サイトでは、これらの特徴量を合成画像を動かしながらリアルタイムに計算して体験できます。「数式の意味」と「画像が変わると数値がどう動くか」を、同時に・直感的に掴んでください。

Radiomics のワークフロー

画像取得

CT / MRI / PET で腫瘍を撮像(再構成条件の標準化が重要)。画像はボクセル(最小単位=3D版の画素)の集まり。

領域抽出 (ROI: Region of Interest)

腫瘍など関心領域を区切る(手動/自動セグメンテーション)。赤線が ROI。

前処理・離散化

リサンプリング・強度の正規化・グレーレベル離散化(IBSI準拠)。必要に応じて画像フィルタも適用(下記)。

特徴量抽出

強度・テクスチャ・形状から数百の特徴量を算出。本サイトの主役

モデル構築

機械学習・統計で診断/予後/治療効果を予測する画像バイオマーカーへ。

特徴量の定義が研究間でバラバラだと結果が再現しません。そこで IBSI(Image Biomarker Standardisation Initiative) が特徴量の標準定義と参照値を定めました。本サイトの計算は IBSI のデジタルファントム参照値で検証しています。

前処理フィルタ ― LoG・ウェーブレット(応用)

特徴量は元画像だけでなく、フィルタを掛けて強調した「派生画像」からも抽出できます。これにより、元画像では見えにくいスケール(粗い/細かい構造)の情報を取り出せます。代表的な2つを紹介します。

LoG フィルタ(Laplacian of Gaussian)
ガウスぼかしの後にラプラシアン(2階微分)を掛け、エッジや斑点状の構造を強調するフィルタです。パラメータ σ(シグマ)を小さくすると細かな質感が、大きくすると粗い構造が際立ちます。σ を変えた複数枚の派生画像から特徴量を取り、マルチスケールに腫瘍内部の不均一性を捉えます。
ウェーブレット変換(Wavelet)
画像を低周波(おおまかな濃淡 = L)と高周波(細部・エッジ = H)に分解します。2D では各軸に L/H を掛け合わせ LL・LH・HL・HH の4成分(3D では8成分)に分け、各成分の画像から特徴量を抽出。方向や周波数ごとのテクスチャを別々に評価できます。
合成画像にフィルタを適用した例。LoG はエッジ・斑点を強調。ウェーブレットは4成分(左上 LL=低周波/その他=高周波)に分解(差分成分は見やすく強調表示)。
いずれも「フィルタ → 派生画像 → 特徴量抽出」という流れで、抽出する特徴量の種類(強度統計や GLCM など)は本サイトで学ぶものと同じです。フィルタの定義も IBSI(畳み込みフィルタの章)で標準化が進められています。

11グループ・172特徴量を探検する

29
Morphological features
体積・表面積・球形度・伸長度・扁平度など、ROIの幾何学的性質。
2
Local intensity features
局所/全体の強度ピーク。周辺ボクセルとの関係を見る。
18
Intensity-based statistical features
平均・分散・歪度・尖度・エネルギーなど、輝度分布そのものの統計量。
23
Intensity histogram features
離散化後のヒストグラムから算出。エントロピー・一様性など。
5
Intensity-volume histogram features
線量体積ヒストグラムに着想を得た強度–体積関係の指標。
25
Grey level co-occurrence matrix
隣接ペアの輝度共起から、コントラスト・相関・均一性など。
16
Grey level run length matrix
同じ輝度が連続する「ラン」の長さ分布から質感を測る。
16
Grey level size zone matrix
同一輝度の連結領域(ゾーン)の大きさ分布を捉える。
16
Grey level distance zone matrix
ゾーンの「ROI境界からの距離」を加味した行列。
5
Neighbourhood grey tone difference matrix
粗さ・コントラスト・複雑さなど、近傍との差に基づく指標。
17
Neighbouring grey level dependence matrix
近傍で似た輝度がいくつ「依存」するかの分布。
172
IBSI standardised features
全11グループを公開。すべてインタラクティブに体験でき、計算は IBSI デジタルファントムで検証しています。

IBSI 172特徴量 網羅チェック

グループ特徴量数集約方式
(本サイト)
ページ
Shape 形状Morphological features293DShape
局所強度Local intensity features22D近似局所強度
強度統計Intensity-based statistics18強度統計
IH 強度ヒストグラムIntensity histogram232DHistogram
IVH 強度体積ヒストグラムIntensity-volume histogram5IVH
GLCM 共起行列Grey level co-occurrence matrix252D averagedGLCM
GLRLM ランレングスGrey level run length matrix162D averagedGLRLM
GLSZM サイズゾーンGrey level size zone matrix162DGLSZM
GLDZM 距離ゾーンGrey level distance zone matrix162DGLDZM
NGTDM 近傍トーン差分Neighbourhood grey tone difference matrix52DNGTDM
NGLDM 近傍依存Neighbouring grey level dependence matrix172DNGLDM
合計 Total172全11グループ
「集約方式」とは? テクスチャ行列やヒストグラムを画像全体からどうまとめて計算するかの方式です。2D=スライスごとに計算して平均、2D averaged=さらに面内の複数方向でも平均、3D=立体としてまとめて計算。「—」=方向やスライスに依存しない(行列を作らない)ため集約の概念がない特徴量(強度統計・IVH・局所強度)。
※ ここに示した 2D / 3D は本サイトでの計算方法です。IBSI の定義上、ほとんどのテクスチャ・ヒストグラム特徴量は2D でも 3D でも計算できます。「2D」と書いた特徴量が 2D 専用という意味ではありません(本サイトは分かりやすさと速度のため主に 2D を採用しています)。

作成者・ご利用にあたって

駒澤大学 医療健康科学部 馬込研究室

本サイト「Radiomics大全」は、放射線治療・医用画像解析の教育普及を目的に 馬込研究室 が作成しています。研究室の活動については https://magome.wixsite.com/laboratory をご覧ください。

⚠ 本サイトの内容には一部に誤りが含まれている可能性があります。発見された誤りについては随時修正していく予定です。情報は教育・参考目的であり、計算値の正確性を保証するものではありません。

計算は IBSI(Image Biomarker Standardisation Initiative)の特徴量定義に準拠し、公開デジタルファントムの参照値で検証しています。